2025.09.17 コラム
はちみつの採蜜時期はいつ?味の違いも解説

スーパーやコンビニでは年中はちみつを見かけるため、「はちみつっていつでも採れるのかな?」と思われている方もいらっしゃるでしょう。
しかし実際には、すべての種類のはちみつが年中採れるわけではないのです。
本記事では、日本における一般的な採蜜時期と、種類による採蜜時期の違いを解説します。
「はちみつについてもっと詳しくなってから商品を選びたい」とお考えなら、ぜひご覧ください。
はちみつの採蜜時期はいつ?
一般的に、はちみつは4~5月に採蜜されることが多いとされています。
なぜなら、はちみつの蜜源となる花が多く咲く時期が春ごろであるからです。
はちみつの蜜源としてメジャーなアカシアやれんげの花も、4月に開花を迎えます。
一方で、咲く花の種類が少ない冬のあいだは、ミツバチがはちみつを採ってくることができないため、採蜜が行われることもありません。
また、巣箱内のはちみつは、ミツバチが越冬する際の大切なえさとなるので、そもそも養蜂家が冬にはちみつを採ってはならないのです。
どんな種類のはちみつも同じ時期に採れる?
どんな種類のはちみつも同じ時期に採れるのかというと、そうではありません。
まず、花の蜜を集めるミツバチの種類、つまり日本ミツバチか西洋ミツバチかの違いによって採蜜時期は異なってきます。
日本ミツバチと西洋ミツバチは、飼育難易度や生態、蜜源とする花の種類が違い、それが採蜜時期にも表れるのです。
また、4~5月以外に開花時期を迎える花を蜜源とするはちみつは、当然ですがその花が咲く時期に採蜜されます。
7~8月末の期間に採蜜できるそばはちみつなどは、その代表例といえるでしょう。
くわえて、同じ種類の花でも地域によって開花時期が異なるため、採蜜時期にも差が生じます。
同じ種類のはちみつでも通年で楽しむことができる理由は、まさにこの点にあります。
日本ミツバチのはちみつの採蜜時期
日本ミツバチは日本の在来種のミツバチで、主に本州・四国・九州に生息しています。
そんな日本ミツバチのはちみつは、以下の通り冬以外の季節で採蜜されるのが一般的です。 それぞれの季節でどのように採蜜が行われるのかを、順に見ていきましょう。
日本ミツバチのはちみつの採蜜時期
・春採り
・夏採り
・秋採り
春採り
先ほどお伝えした通り、春には多くの花が開花するため、日本ミツバチも多種多様な花の蜜を集めて巣に貯蔵します。
そのため、春ははちみつの採蜜に適した時期といえるでしょう。
しかし、それと同時に日本ミツバチの育児が盛んになる季節でもあるため、害を与えないように採蜜を控える養蜂家も少なくありません。
なお、春に採蜜された日本ミツバチのはちみつは、透き通った黄金色をしている傾向にあります。
夏採り
初夏となる5月ごろから夏にかけては、巣枠で育成する日本ミツバチに関しては採蜜が可能です。
ただし、この時期のミツバチの巣は暑さで柔らかくなっており、採蜜作業の際に巣が落ちてしまうこともあるため、細心の注意を払わなくてはなりません。
また、気温の高さゆえに作業者へも負担がかかるため、夏の採蜜は非常に大変な作業だといえます。
そんな夏採りのはちみつには、糖度が低いものも含まれている場合があります。
というのも、ミツバチが羽で水分を飛ばす際に、夏は湿度が高いため、はちみつから水分が蒸発しにくく、糖度が上がりにくいのです。
夏採りでは、この点も考慮して採蜜するタイミングを検討しなくてはなりません。
秋採り
暑さが徐々に落ち着いてきた秋には、日本ミツバチからはちみつを採れるようになります。
日本ミツバチを飼育し始めた時期や、越冬したかどうかによっても変わりますが、春と同様に秋も採蜜に適した時期となっています。
なぜなら、巣が成長し蓄えられたはちみつの熟成も進んで、濃厚な味わいとなっているからです。
ただし、秋に蓄えられているはちみつは、ミツバチにとっては越冬のための大切なえさとなるので、養蜂家は採蜜する量には注意しなくてはなりません。
西洋ミツバチのはちみつの採蜜時期
外来種である西洋ミツバチの場合は、春と夏にはちみつの採蜜が行われるのが基本です。
西洋ミツバチのはちみつの採蜜時期
・初春採り
・春採り
・夏採り
・秋採り
初春採り
冬が終わりだんだんと気温が上がってくる初春の時期になると、西洋ミツバチの女王バチが産卵を始め、ミツバチの数が増えていきます。
そうなれば当然花の蜜もたくさん集まり始めるため、養蜂家は採蜜もできるようになるわけです。
なお、西洋ミツバチは特定の花から蜜を集める習性があり、この初春採りでは桜の花や菜の花が蜜源のはちみつが採れます。
春採り
4~5月に入り気候が温暖になってくると、西洋ミツバチの活動がさらに勢いを増し、はちみつの採蜜活動もピークを迎え始めます。
また、この時期にはレンゲやりんご、みかん、タンポポなど種々の花々が咲くので、採蜜できるはちみつの種類も豊富となります。
初夏の近づく6~7月にはアカシアの花も満開を迎えるため、西洋ミツバチのはちみつを採集するのに理想的な時期といえるでしょう。
夏採り
夏も多種多様な花が咲くので、春に引き続きはちみつの採蜜時期として最適な季節となります。
7月ごろにはクローバーはちみつを、8月には栗やトチ、そばはちみつなどを採蜜することが可能です。
また、この時期には西洋ミツバチでも蜜源が混合し、百花蜜ができあがる場合があります。
さまざまな花の蜜が混ざった百花蜜は、フルーティーな味わいと芳醇な香りを楽しめます。
秋採り
西洋ミツバチのはちみつの採集は春と夏にピークを迎え、秋に行われることはほとんどありません。
秋にはミツバチの数があまり増えず、花の蜜が集められないためです。
しかし、一部の養蜂家は秋に咲く花々を蜜源とするはちみつを目的に、秋でも採蜜を行います。
ただし、夏ごろからは天敵であるスズメバチの活動も活発になるため、西洋ミツバチの巣を守るための対策を施さなくてはなりません。
日本ミツバチと西洋ミツバチのはちみつの違い
ここで、日本ミツバチと西洋ミツバチの採蜜時期以外の違いも整理しておきましょう。
この2種類のミツバチのはちみつには、以下の点で違いがあります。

大きな違いとして挙げられるのが、はちみつの種類です。
日本ミツバチは複数種の花から蜜を集める習性があるため、作られるはちみつは必然的に“百花蜜”となります。
百花蜜とは、その名前が示す通り、さまざま花を蜜源とするはちみつです。
ただ甘いだけではなく、複雑な風味とコクを味わえるのが特徴です。
対して、西洋ミツバチは特定の花から蜜を集めて“単花蜜”を作ります。
その風味は蜜源となった花の種類によって異なるものの、甘味と香りが強く感じられる点は共通しています。
どちらのはちみつにも異なる味わい深さがあるので、いろいろと試したうえでご自身の好みに合ったものを選ぶのがよいでしょう。
種類や風味のほか、採蜜量と値段も違いが大きく表れる部分として挙げられます。 日本ミツバチは1年に一度しか採蜜できないうえに、その量も多くないため、国内での流通量が少なく、値段も高くなりがちです。
反対に、西洋ミツバチは比較的多くの量を採蜜できるので、流通量が多く値段も抑えられています。
味わいに強いこだわりがなく「とりあえず手軽にはちみつを取り入れたい」とお考えであれば、西洋ミツバチのはちみつを選ぶことをおすすめします。
参照元:農林水産省「養蜂をめぐる情勢 p4」
はちみつの味は花によっても変わる?
ここまでに何度かご説明してきた通り、はちみつの味は蜜源となる花によっても変わります。
ですので、ミツバチの種類や採蜜時期とともに、花の種類もきちんと確認しておきたいところです。
花の種類ごとの風味を以下にまとめているので、商品を選ぶ際の参考としてご活用ください。 代表的なはちみつの種類
・アカシアはちみつの味
・マヌカはちみつの味
・れんげはちみつの味
・クローバーはちみつの味
・みかんはちみつの味
・そばはちみつの味
・百花蜜の味
アカシアはちみつの味
アカシアの花を蜜源とするアカシアはちみつは、日本に流通しているはちみつのなかでも最もポピュラーなもので、「はちみつの女王」ともよばれています。
あっさりとした甘さとクセの少ない穏やかな香りが特徴で、老若男女問わずおいしくいただけるはちみつです。
また、そのクセの少なさから用途を選ぶことがないのもうれしいポイントです。
ヨーグルトやトーストにかけてもよいですし、料理の隠し味としても活用できます。
もちろん、そのまま食べてもお楽しみいただけるので、非常に使い勝手の良いはちみつといえるでしょう。
マヌカはちみつの味
近年“マヌカハニー”という名前で人気を博しているマヌカはちみつは、ニュージーランドを原産国とするはちみつです。
ニュージーランドにのみ自生する、“マヌカ”という樹の花を蜜源としています。
まったりとしたコク深い味わいにくわえて、ややクセのある独特の香りがあり、ほかのはちみつとはまた違った風味を楽しめます。
「その独特な味わいがちょっと苦手……」という方は、コーヒーなどに混ぜて飲んでみましょう。
マヌカハニーには特有の抗菌作用があるため、いろいろと工夫して生活に取り入れたいところです。
れんげはちみつの味
「はちみつの王様」ともよばれるれんげはちみつは、日本ではアカシアはちみつと並んでポピュラーなはちみつです。
そのまま食べれば、クセの少ないまろやかな甘味と芳醇な香りが楽しめます。
また、アカシアはちみつと同じように料理に使うのもおすすめで、肉料理や魚料理の隠し味として用いればほどよくコクを出せます。
「初めてのはちみつは食べやすいものがいい」「いろいろな用途で使いたい」とお考えなら、ぜひれんげはちみつをお選びください。
クローバーはちみつの味
クローバーはちみつは非常にすっきりとした甘味が特徴で、国内外問わず高い人気を誇っています。
香りも非常に爽やかで、ひと口食べればクローバーの清涼感ある香気が口いっぱいに広がります。
どんな料理に使っても大活躍してくれること間違いありませんが、特にその芳醇な香りを活かして、紅茶やハーブティーに混ぜていただくのがおすすめです。
また、お菓子作りに活用して上品な甘さを出すのにもうってつけでしょう。
みかんはちみつの味
みかんはちみつは、その名の通り、みかんの花を蜜源とするはちみつです。
日本ではみかんの名産地である静岡県や和歌山県で主に採蜜されています。
柑橘系のさっぱりとした甘さとフルーティーな香りを味わえます。
ほんのりとした酸味もあるので、たとえばマリネなどで砂糖の代わりとして使うのに最適です。
紅茶に混ぜたりホットケーキにかけたりしてお楽しみください。
そばはちみつの味
少し変わったフレーバーが楽しみたいのであれば、そばはちみつを選んでみてはいかがでしょうか?
黒蜜のようなコク深い甘味と少しの苦味、そして薬膳のような力強い香りを楽しめます。
このクセの強さゆえに人を選ぶところがありますが、普通のはちみつでは楽しめない風味を味わいたい方にはうってつけでしょう。
調味料として用いる際は、香辛料が効いたスパイシーな料理や、もともとの味つけが濃い料理に使うのが最適です。
また乳製品との相性も抜群で、チーズにかければそれだけで立派なオードブルとなるので、ぜひお試しください。
百花蜜の味
多種多様な花の蜜からなる百花蜜は、全体的な傾向としては、クセがなく、ほどよい甘味と上品でしつこくない香りを楽しめます。
ただし、実際に食べ比べてみると、採蜜された地域や季節、蜜源となった花の種類によって風味がまったく変わってくることがわかります。
この違いこそが、百花蜜の魅力です。 いろいろな百花蜜を試したうえで、ご自身の好みにピッタリ合ったものを探してみましょう。
日本ミツバチと西洋ミツバチの違い、また蜜源となる花の種類によって採蜜時期は異なる
今回は、採蜜時期について解説しました。
日本ミツバチは主に春から秋まで、西洋ミツバチでは春から夏にかけてが採蜜時期のピークです。
この違いにくわえて蜜源となる花の開花時期にも差があるので、採蜜時期はその種類によってまったく異なるのです。
ご自身の好みに合ったはちみつをお探しの際は、採蜜時期まで考慮して選ぶことをおすすめします。
「たくさんのはちみつが選べるサイトはないかな……」とお探しであれば、ぜひ杉養蜂園のECサイトをご利用ください。
本記事でも取り上げたアカシアはちみつやマヌカハニーなど、国内外のさまざまな産地・種類のはちみつを取り扱っております。
