2025.03.03 コラム
はちみつが固まるのはなぜ?どうすれば元に戻る?

「はちみつが白っぽくなってシャリシャリしている……」「間違って冷蔵庫に入れたら、固まってしまった」 このような経験はありませんか? はちみつが固まるのには、いくつかの理由があります。
そこで本記事では、はちみつが固まる理由とともに、固まったはちみつを元に戻す方法や、保管のコツをお伝えします。
はちみつをおいしく楽しみたい方はご一読ください。
はちみつが固まる理由
はちみつが固まるのは、中に含まれているブドウ糖が結晶化するためです。
ブドウ糖になんらかの外的要因が加わると、はちみつに混入している花粉や気泡を“核”として結晶化が始まり、白く固まります。
はちみつの中のブドウ糖が結晶化する要因としては、以下の3つが挙げられます。 普段の保管方法に心当たりがないか、ご確認ください。
理由①温度変化があったため
ブドウ糖は、15℃以下になると結晶する性質をもちます。もっとも結晶化しやすい温度は13~14℃です。そのため、ブドウ糖を含んでいるはちみつを冷蔵庫に入れたり、室温の低い冬に部屋に置いておいたりすると、固まることがあります。
さらに、15℃を下回っていなくとも、温度変化が大きい場合にもブドウ糖は結晶化します。そのため、夏場であってもエアコンによる室温の変化や、窓から差し込む日光の当たり具合などによって、はちみつが固まる場合もあるのです。
ちなみに、蜂の巣の中は30℃以上あるため、巣の中ではちみつが結晶化することは基本的にないとされています。
理由②振動が伝わったため
温度に気を付けていても、はちみつに振動が伝わるとブドウ糖が結晶化し固まる場合があります。
なぜ、振動によってブドウ糖が結晶化するのか? というと、はちみつが振動することで生じた気泡が結晶の核となるためです。
また、元々作られていた結晶同士がくっつくことで、結晶化がより進み、はちみつが固まるとも考えらえています。そのため、チューブ容器などに入っているはちみつが出てこないときに、容器ごと振るのは逆効果なのです。 ただでさえ出てこないはちみつが固まり、より取り出しにくくなってしまいます。
理由③ブドウ糖が多く含まれているため
はちみつの蜜源になる花の種類によって、ブドウ糖の含有量が異なります。
ブドウ糖そのものが多く含まれているはちみつは、より固まりやすい傾向にあります。
▼固まりやすい
- ・ナタネ
- ・ヒマワリ
▼中間
- ・クローバー
- ・トチ
- ・ミカン
- ・マヌカ
▼固まりにくい
- ・アカシア
- ・レンゲ
固まったはちみつは食べられる?

固まったはちみつを食べること自体に問題はありません。先述の通り、はちみつが固まるのはブドウ糖の結晶化によるもので、品質が劣化したわけではないためです。安心してお召し上がりください。
はちみつは固まると、シャリシャリとした食感になるので、普段とは違う味わいを楽しむこともできます。塊をそのまま食べたり、パンやアイスに乗せたり……と、普段とは違う食べ方にチャレンジしてみると楽しいかもしれません。
そして「食べてもいいのはわかったけど、固まる前の食感のほうがいい……」とお思いの方も、ご安心ください。 固まったはちみつを元に戻す方法がありますので、次項で詳しく解説いたします。
固まったはちみつを元に戻す方法
固まったはちみつは、温めるとブドウ糖の結晶が溶けるので、元の状態に戻すことができます。
温める方法は3種類ありますので、以下をご確認ください。
方法①湯せんで溶かす
固まったはちみつは、以下の手順に沿って湯せんで温めると元に戻ります。
▼瓶入りのはちみつを湯せんする手順
- 1.耐熱のボウルか鍋に40℃前後のお湯を入れる
- 2.はちみつの瓶の蓋を外す
- 3.はちみつの瓶をお湯の中にそっと入れる
- 4.固まったはちみつをスプーンなどで混ぜながら溶かす
上記の手順を経て、はちみつに濁りがなくなれば完了です。所要時間は1時間半程度と、やや時間はかかりますが、はちみつの品質をできるだけ損ねないように溶かす方法としては、湯せんが一番おすすめです。
なお、早く溶かそうとしてお湯の温度を上げてしまうと、はちみつの風味や栄養素に影響を与えることがあるので、40℃前後の範囲内でじっくりと時間をかけて進めてください。
なお、スティックタイプのはちみつの場合は、お湯にそのまま浸せば溶かすことができます。
方法②使い捨てカイロで温める
湯せんや電子レンジを使う方法では、途中ではちみつの様子を確認する必要があります。
そのような作業が手間に感じられる方は、使い捨てカイロを用いて、半日ほど放置するという方法をお試しください。
▼準備するもの
- ・固まったはちみつ
- ・使い捨てカイロ:2~3枚
- ・タオル:2枚
- ・毛布:1枚
毛布はひざ掛け程度のサイズで問題ないでしょう。 上記のものが揃ったら、以下の手順ではちみつを溶かします。
▼固まったはちみつを使い捨てカイロで溶かす方法
- 1.毛布を広げて、その上にタオルを1枚敷く
- 2.はちみつの容器に2枚目のタオルを巻きつける
- 3.1.の上にカイロと2.を並べ、毛布ごとクルクルと巻く
- 4.12~14時間程度放置する
- 5.途中で適宜、上下をひっくり返す
この方法であれば、時間はかかりますが、放置するだけで固まったはちみつを溶かすことができます。 容器の蓋をあけて、スプーンなどでかき混ぜる必要もありません。
はちみつが固まるのを防ぐ方法はある?
はちみつが固まるのを防ぐ最も効果的な方法は、16℃以上の暖かいところで直射日光や高温多湿を避けて保管することです。
本記事序盤でもお伝えしたように、はちみつは15℃以下の環境、あるいは温度変化の激しい環境で結晶化し、固まります。そのため、冷蔵庫には入れず、室内の日の当たらない場所で保管しておくのが一番といえます。
また反対に、冷凍庫にはちみつを保管する、という選択肢もあります。
「冷蔵庫はダメなのに大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、はちみつは5℃以下になると、逆に結晶化しにくくなるのです。そのため、-18℃程度の冷凍庫であれば、はちみつが固まるのを防いで保管することができます。
はちみつは15℃以下で結晶化する。固まったら湯せんで溶かすのがおすすめ

以上、はちみつが固まってしまう原因とともに、固まったはちみつを元に戻す方法や、固まらないように保管する方法をお伝えしました。
はちみつは、中に含まれているブドウ糖が結晶化することで固まります。 ブドウ糖は温度変化や振動により結晶化しやすいため、はちみつを扱う際にはそのような状況を避け、直射日光や高温多湿を避けて保管しましょう。
万が一はちみつが固まってしまった場合は、湯せんをはじめ、本記事でお伝えした方法をお試しください。
また、おいしいはちみつをお探しの方は杉養蜂園の公式オンラインショップをぜひご利用ください。
ニュージーランド政府の品質基準で最高ランクのモノフローラル・マヌカハニーや、比較的固まりにくいアカシア蜜の取り扱いもございます。
コラム監修者

平柳 要先生
肩書:医学博士(東京大学)/保健学修士(東京大学)
所属:株式会社 食品医学研究所 代表兼所長
【略歴】
東京大学大学院医学系研究科(生理学)修了後、イタリア・パルマ大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の客員研究員を経て、日本大学医学部(衛生学)准教授となる。
これまで日本体育大学(公衆衛生学/労働衛生学)、佐野日本大学短期大学(公衆衛生学)などの非常勤講師、日本人間工学会、日本宇宙航空環境医学会、日本臨床高気圧酸素・潜水医学会の理事や日本衛生学会、日本予防医学リスクマネージメント学会の評議員などを務めた。
現在は(株)食品医学研究所の代表兼所長。
【専門分野】
・特殊環境医学(宇宙環境生理学、海洋環境生理学、作業環境衛生学)
・科学的根拠(エビデンス)に基づく食材の健康効果研究
【メディア出演歴】
・NHK「ためしてガッテン」
・TBSテレビ「名医のTHE太鼓判!」
・テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」
・CBCテレビ「健康カプセル!ゲンキの時間」
その他、MBS・テレ東・BSフジなど多数出演。
【監修・寄稿実績】
・蜂蜜力(主婦と生活社)
・魔法のハチミツ(マキノ出版)
・体が整う とっておきのしょうがレシピ(ナツメ社)
その他、食品の健康効果に関するムックや新聞・雑誌への
記事の投稿・監修は200冊以上。
【執筆著書】
・がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ-ビタミンDの驚きの効力(講談社)
・病気にならない!しょうが緑茶健康法(サンマーク出版、中国語版あり)
・医学博士が考案した長生きふりかけ(サンマーク出版)
その他、専門書『現代生活と保健衛生』(篠原出版新社)・『新編衛生学実習』(南山堂)など、
健康・保健に関する書籍を多数執筆。
【外部リンク】
食品医学研究所ブログ:http://h-and-w.jp/column/
マイベストプロ群馬ブログ:https://mbp-japan.com/gunma/food-medicine/column/